Voicyの大型調達が成功した最大の理由はリーダー陣にあった【声の履歴書 Vol.77】

こんにちは。Voicy代表の緒方です。
この「声の履歴書」という連載は、Voicyがこれまで歩んできた道のりについて創業者の私があれこれ語っていこうというシリーズです。よかったらマガジンをフォローしてくれると嬉しいです。
以前にも書きましたが、いまVoicyという会社はすごく良い状況にあります。一時期は本当にしんどくて、毎日会社のミーティングに行くのがつらい、なんていうことも、2年前くらいにはありました。
そこから、いまはもうすごく頼れるリーダー陣がいて、毎回大変なアジェンダが飛び交うリーダーミーティングで、「しびれるね」と言いながら楽しそうに現場に戻っていく。そんなイケているメンバーが揃っています。

Voicyを支える6人のリーダーたち


今回、Voicyはかなりの額の資金調達ができましたが、リーダー陣のうち1人でも欠けていたら、おそらく調達できなかっただろうな、というくらいのファイナンスでした。
どんなメンバー構成だからできたのか? ということを話せると、今後チームをつくる中で参考になる会社もいるんじゃないのかな、と思っています。
Voicyには、いわゆる「CxO」などの役職もまだなくて、現場のリーダーが執行のトップであり、会社の意思決定チームもやっています。組織のレイヤー自体がそんなに深くないんですね。
彼らはVoicyに約50人いるメンバーを率いる6人という感じです。バックオフィスはコーポレートとファイナンスを中川が、奥中が経営企画を担い、勝村が人事を担当しています。
それから長谷部が営業や売上さらにPRなどのビジネス担当。開発は2人いて、大枝がプロダクトマネージャーとして全体のプロダクトの開発から設計を見ており、山元がエンジニア全体を統括していて、エンジニアの出力の最大化とかデータのところも全部見ていて、音声だからこそのデータ基盤を全部握っています。
そんなリーダー陣でやっていますが、この6人はそれぞれ皆すごく忙しくて、ハードワークで働いているんですけど、全員がそれぞれのチームに、「こうしたら?」という意見を言えるんです。
つまり、会社全体とそれぞれのチームのことまで把握していて、横断力がすごく強いんです。自分の部署の話だけを報告して帰っていく、みたいな感じとはまったく違っていて、このメンバーで集まったリーダーミーティングでは、それぞれが全部の部署の議題をワーワー言いながら話す、という状態になっています。
そうすると「自分の部署の結果は、自分が責任を持って取ってくるから」という雰囲気で任せられる、という強さがあります。

組織開発も得意とするエンジニアリーダー


特に山元というデータを見ているリーダーは、優秀なエンジニアなのに組織開発もできるし、経営のところにまで興味を持っている。本当にオールラウンダーでできるエンジニアだな、と思っています。
今回のVoicyの資金調達のときにも必要だったんですが、Voicyの強みになるユーザーのデータを投資家に見せることができたのも、山元のおかげでした。
Voicyにはユーザー行動がすごくしっかりと結びついているので、そこのところの数字が明確に出せて、投資家に「Voicyはユーザーにすごく愛されているんです」ということも明確に示すことができたわけです。
もしも彼がそれを出せるデータをつくっていなければ、現状のVoicyのユーザー数と売上の数字だけを見せることになりましたから、いまのバリュエーションは絶対に取ることができなかったんです。
そしてもちろん、サービスが落ちることがほとんどない。彼がサービスの品質まで担当してやってきているので、安定した開発体制になっているのは、すごく大きいです。

社長の無茶振りを整理して実行するPdM


一方で、大枝という開発のプロダクトマネージャーは、緒方が山のように無茶振りすることを全部受け止めて整理しつつ、現場に話を持っていくことができる人なんです。「緒方の無茶振りと散らかしまくりを面白そうにケアできるのは彼くらいしかいないだろう」と社内でも言われているくらい、稀有な存在です。
新しい道を爆走するときに、社長の思考をプロダクトを落とし込むというところは、心身ともにすごい苦労があると思います。それから彼がプロダクト全体の責任者になってから、Voicyでは圧倒的に開発量が増えました。できることがどんどん増えてきて、毎月何らかの機能がどんどんリリースできるようになってきたところがあるんです。
今回の調達に関しても、調達までにできた機能がたくさんあったおかげで、投資家にも「ここまでどんどんつくっていけるんだ」というところを見てもらえました。
それから、彼の下にはデザインチームがいるので、ビジネス側のチームが「こういう機能をつくってほしい」というときに、すり合わせをすることもできます。最終的にお客さんに対してサービスを出すところの要になっていますね。

音声の新しいマーケットを作ったビジネス担当


ビジネス領域を担当している長谷部というリーダーは、何でもやるんです。彼はVoicyのビジネス側の売り上げを右肩上がりにしてくれました。完全に、音声で新しいマーケットをつくってしまいました。
彼が来てから企業のチャンネルとのコラボレーション企画などもつくれるようにもなりましたし、代理店がVoicyの商品を売るようにもなったんです。いまでは法人利用は合計174社にもなりました。
それでも入社した当時は本当にボロボロだったんです。メンバーもいないところから、彼がチームづくりから何から全部やって、やっと売れるところまで持ってきている、というところです。
いまのVoicyは流通総額でいうと前年比4倍ほどになってきたので、かなりのお金が動くマーケットをつくってくることができています。彼がチームを率いて売り上げをずっと右肩上がりに成長させてくれていなければ、資金調達のときに結構つらかったんだろうな、と思っています。
更にVoicyは世界観がとても大事で、会社もプロダクトもオリジナルの打ち出し方を緒方はめちゃくちゃこだわっています。そこをしっかり汲み取って形にしてきてくれてます。今回の調達のリリース全般の世界観はPRチームの努力の賜物です。

難しいファイナンスを引っ張ったコーポレート担当


今回のファイナンスでは、特に中川が頑張ってくれました。Voicyには以前CFOがおり、彼の退任後にキャッシュで苦戦することが予想されたのですが、中川が銀行借入や投資家からの資金調達をあの手この手で色々と動いてくれたことで、逆に資金状態をよりいい状態にすることができました。
特に緒方がワーッと考え込んだときにも、「落ち着いて。大丈夫ですから、一歩ずつやりましょう」みたいな感じで、お金を集めてくることができたんです。
それと同時にコーポレート担当としても、Voicyが課金機能をつけたりする中で、信頼して取引ができるような会社の土台をつくってくれました。会社の土台づくりをしながら、ファイナンスでお金を取ってきて集めるというところまでの全部をかたちにしてくれたんです。
そして実は、Voicyには株主が多いんです。エンジェルとかも入れて何十人にもなるんですけれど、皆さんそれなりに癖があるので、ものすごく大変なんです。ただお金を出すだけじゃない、強く応援してくれる方々に入ってもらえてるからではあるのですが。
それなのに緒方が「またエンジェルを見つけた」と言って引っ張ってくる。そんな感じでこれまでやってきていたので、今回のファイナンスも、彼女がいなかったら絶対に無理だっただろうな、と思っています。

資金調達のプランニングを組み直したブレーン


それからリーダーチームに一番最後に入ってきたのが、奥中という女性です。彼女は金融やコンサル、いろいろな事業を経験しているんですけれど、今回の資金調達のプランニングの途中で入ってきました。
それまでは「とりあえず大きくなる会社なので」みたいな感じで説明していたのが、奥中が入ってからは、「何が強みで」「どういうふうな整理で考えていくのか」とか、「類似企業にどうやって対応するのか」というあたりで、ファイナンスに必要な会社の見せ方というものをきっちり整理できました。
「道なき道に出るのであればどうだろうか?」ということを、かなり柔軟に考えてくれるタイプでした。彼女が入社してこなければ、ちょっとゾッとする感じになっていたのかな、と思います。
そんな彼女は、ボストンコンサルティンググループとか、LINEで子会社の立ち上げをやっていたんですが、いまでは「道に迷えばオモロい方へ」のラジオ番組の台本も、キャスティングも何から何までやって、芸能事務所と交渉して、みたいな感じで、何でもやっている。そういう何でもやる力がすごく強い人なんです。

組織づくりから現場の舵取りまでできる執行役員


最後に、唯一、Voicyで執行役員というポジションを持っている勝村という人がいます。
彼が人事として組織づくりをやってきてくれたおかげで、会社にマッチする人ばかりが集まって、会社のメンバーのモチベーション、カルチャーフィットもつくっていくことができました。
それから離職率も大幅に下がっていますし、もう爆走する会社のエンジンというものをつくった立役者だと思っています。
一方で、会社の中に人が足りなくなると、自らそこの部署に入ってそこのリーダーもやってもらっているんです。「リスナーを増やそう」とか、「パーソナリティを増やそう」という各場所に行っては、そこの現場の舵取りをして帰ってくる、という感じの組織の要ですね。会社の難所に必ず乗り込んで何とかしてくれるキーマンです。

絶対に逃げない。挑戦する経営チーム


この辺りのリーダー陣がだいたい皆30代で、平均すると35歳くらい。
シリーズAのときは、私が気合で引っ張ってきた感もあったんです。ただ、そのときは社長の根性と世界観を付加して何とかできていたけれど、やっぱりシリーズBのところでは、いかに事業をちゃんとつくることができて、それに対する組織をつくれているのかが大事になってきます。
あらためて、チームづくりの大事さと、それがあることによってプロダクトも事業も大きく変わるんだということを実感しました。
事業の本当に大事なところは、「ビジネスモデルだ」「実行だ」と、なんだかんだと言っているわけですけれど、それに合わせた組織をつくることができるかどうかが一番必要なんだということを痛感しました。
ですから、日々のニュースを見ていると、「どんな社長がどんな業界でどれだけ頑張って、どれくらいのお金がついたのか」みたいなことを言っていますけど、大事なのは経営チームなんです。
絶対に逃げない。それでいて、挑戦する経営チームをつくることができている、というところが、実はいまのVoicyの強みなんです。もちろん、パーソナリティさん、リスナーさんたちのおかげではあるけれど、緒方が頑張ったから、とか、上手く伸びたからできているものじゃない、ということです。
今回のVoicyのファイナンスの最大の成功要因は、明確に、良いリーダーチームをつくることができたことに尽きる、と思っています。
これからVoicyが拡大していく中でもっとリーダーが必要です。みんな毎日成長してるのがわかるし、楽しんでくれてるのがわかる。リーダーになってくれる仲間を募集してますのでぜひVoicyに応募して一緒に挑戦してほしいです。
 

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