Voicyの人事評価制度について

 
こんにちは。Voicyで執行役員として、主に人事領域を管掌している勝村です。
突然ですが、みなさんは転職活動の際、選社軸に「人事評価制度」を入れていますか?
恐らく会社と出会う際に、人事評価制度を重要視している方は少ないと思います。 ただ内定後の意思決定をするフェーズでは、急に重要な情報になってきますよね?
最重要ではないものの、入社するなら知っておきたい「人事評価制度」。 これまでは弊社も多くの企業と同様に、内定者に対してのみオファー面談にて詳細にご説明を差し上げておりましたが、重要な情報なのであれば事前に公開し、先に判断してもらったほうがいいのでは?と思い、この度その内容をまるっと開示することにしました。
ご自身の考え方と親和性があるか、納得感を感じられるかを、ぜひ確認してみてください!
 

【制度構造】ベースはミッショングレード制度


初めてVoicyに評価制度が導入された2019年、当時は職能等級制度を軸とした制度が導入されました。職能等級制度というのは、簡単に言うと在籍期間に一定比例した評価をする考え方ですね。 また定型労働時間制度であったため、成果よりも行動やスタンスに重きを置いた評価基準でした。
ただ会社が成長する中で、職種の複雑化やスペシャリストポジションの新設、フレックス制度・リモートワーク制度・副業制度の導入による働き方の個人裁量化、経営から現場へ執行権限が移譲されたことによる業務裁量の増加など、経営と従業員の関係性が「“管理”から“裁量”へと変化」していきました。それに伴い、「評価も“行動”ではなく“成果”ですべきではないか」という議論が起こり、制度を根本的に見直すことになりました。
とはいえ、カルチャーを大切にしている社風のため「組織づくりへの参加度を評価したい」と考えたことや、マーケットの創出という難易度の高い事業へチャレンジするには「職域をオーバーラップするスタンスを評価する」ことも大切であると考えたことなどから、職務等級制度(職域や職能を等級にし成果で評価する制度。外資に多い)までの大きな舵切りはせず、2021年から現在の役割等級制度を軸とした人事制度へと移行する意思決定になりました。
役割等級制度とは、役職や職種や在籍期間ではなく、ミッションに応じて等級(グレード)を定める、先述の2つの制度の間のような制度です。そのためミッショングレード制度とも呼ばれます。 現在Voicyでは6段階のグレードで設計されており、各々の大枠のミッションは以下になります。

【評価反映】半期ごとの絶対値がSOへ、平均値が昇給に反映


弊社は1月決算のため、上期は8月 / 下期は2月に評価面談を行なっており、各々点数及びS~Gの評価がつきます。 上期と下期それぞれの絶対値は、信託型ストックオプションのポイントへと反映されます。 SOは試算価値として、数十万円から場合により数百万円相当となるため、実質的に賞与の立ち位置で捉えています。
そして上期と下期の平均値が、昇給へと反映されます。 給与テーブルの詳細は流石にここでは公開しませんが、従業員へは公開している情報になります。 横軸がグレード、縦軸が給与レベル(昇給降給幅)のマトリックスになっており、評価における付与レベルに応じて上下する仕組みです。
例えば、上期が90点のA評価、下期が70点のC評価であれば、通期は平均値の80点でB評価となります。 以下の通りB評価に割り当てられているレベルが4なので、当該グレードにおける自身の現在のレベルから、4段階レベルアップ=昇給します。 各々のレベルにおける年収影響は、グレードによって差がありますが大枠は以下です。 そのため、上記例であれば7~10%程給与が上がることになりますね。
過去の実績分布としては、Sは1~2名程度、A~Bが2割、C~Dが7割、E~Fが1割、Gは数年に1名程度です。

【評価基準】評価100点満点=成果60点+行動40点+挑戦10点=110点?


先述のように、経営と従業員の関係性は「“管理”から“裁量”へと変化」しており、個人へ大きく裁量を与えているという前提のため、評価配分は「成果>行動」と考えるべきと定義しています。 そのため、評価100点満点の内訳は「成果60点+行動40点」の構成です。
成果の60点は、目標に対する達成率で評価します。 会社のKGI / KPIやチーム目標などを参考に、そこへ紐づく目標を個人で設定し、最終的には上長と擦り合わせた上で確定します。変化の激しいスタートアップのため、目標は3ヶ月経過時に上長と再度擦り合わせを行い、必要に応じて修正します。
イメージは以下のような形で、可能な限り定量化を目指します。職種によってどうしても定量化が難しい場合は、上長と協議の上定性的な目標を立てます。 目標項目数は3つを基本としていますが、個別裁量で自由に増減することが可能です。 立てた目標に対し、達成率が60%以下だと1、140%以上だと5というように、5段階で評価がつき、配点に基づき点数化されます。
またユニークな制度としてチャレンジ目標があります。これはムーンショット級に難易度の高い目標を掲げる場合は、追加で10点分の目標設定が認められるものです。 つまり「成果60点+行動40点+挑戦10点」の110点満点構成に変更することが可能になります。
これは「メンバーのチャレンジを推奨したい。チャレンジすることを評価したい。」という経営の思いやカルチャーから追加された制度です。 もちろん掲げる掲げないは自由で、設定しない社員もいます。
 
次に行動の40点は、4つのカテゴリーと、その中に3つずつある計12項目の具体ミッションに対して評価します。項目はグレード単位で多少変わってきますが、能力やスキル・カルチャー体現や組織づくり・採用などで構成されます。 例えば「グレード3」の「職務遂行力」というカテゴリーであれば、その中に「計画立案」「計画管理/運用」「課題発見/解決」の3つのスキルに対してミッションが以下のように定められており、この基準に対しての評価を行います。
遂行レベルが低く課題が多いと1、一つ上の等級に相当するレベルであれば5というように、こちらも5段階で評価をつけますが、成果目標に比べると定性的な評価になるため、自身で評価をつけたのちに、上長と認識の擦り合わせを細かく行い、一次評価を決定していきます。

【決定順序】評価会議は3段階。一次は特徴的な擦り合わせ型


最後に評価が決定するまでの流れですが、3段階の会議を経て確定します。
まず一次評価は、メンバーと上長で行います。期初に上長と立てた目標へ対し、自己評価をつけ、メンバーから上長へプレゼンをします。
一次評価で特徴的なのは「擦り合わせ型」であることです。 メンバー同様、上長も事前にメンバーに対する評価をつけてきており、メンバーのプレゼンを聞いた後、上長は自身がつけた評価を伝えます。その後、両者の結果を照らし合わせて生じたズレ(特に行動側の定性評価はズレが起こりやすい)に対し、「メンバーが納得いくまで」擦り合わせる形をとっています。
評価制度は、給与へ直結する大切な制度であると同時に、あくまでも手段だと考えています。 上司と部下の期待値のズレを埋め、目標や目的が擦り合うことは、高いエンゲージメントに繋がりますし、そのためにも納得がいくまでズレを埋めることを大切にしています。
その後、部署間の整合性を整えることを目的としたリーダーと人事で行う二次評価、その結果を踏まえて最終判断のための役員と人事で行う三次評価があり、評価が決定します。

スタートアップらしく、ルールに縛られすぎない


ここまで説明してきたルールを経て評価が決まり、昇給の権利を有する入社1年以上の社員へは年に一度の昇給、SO付与の権利を有する入社4ヶ月以上の社員へは年に二度のSO配布へと繋がります。
上記の説明だけでは「昇進昇格はどう決まるのか」が不透明ですが、こちらは評価制度には連動していません。 昇給と同じく年に一度2月のタイミングで、上長の推薦により昇進昇格会議へ議題としてあがり、管理職や経営職の協議により、過去数回の評価や他部署からの定性的な評価を確認しながら決定されます。
ただし、ここまで説明してきた人事評価制度や、昇進昇格制度は全て「基本」ルールです。 スタートアップは変化に柔軟で、新しい発想でないといけません。 もちろんルールは必要ですが、それに必要以上に縛られてはいけない。
私たちはそう考えているので、成果を出せばSランク以上に昇給したり、権利期間を待たず昇進昇格を辞令したりしています。そして何よりこの制度自体も、常にアップデートを続けています。
上記のような評価制度、そしてこのようなスタンスに共感された方は、ぜひ安心してご応募ください!
 

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