【マクアケ×Voicy】クリエイター・エコノミーのシゴト #3|前例のない職業に、パイオニアとしてどう向き合うか
2022年8月3日、音声プラットフォームVoicyにて、マクアケ社との共催採用イベント「【マクアケ×Voicy】クリエイター・エコノミーのシゴト #3|前例のない職業に、パイオニアとしてどう向き合うか」をライブ配信でお届けしました。
「クラウドファンディング」や「ラジオ」と混同されがちな私たちですが、実は新しい文化づくりにチャレンジしている会社です。そして、新しい業種・企業だからこそ「キュレーター」や「パーソナリティサクセス」といった、まだこの世にほとんどない全く新しい職業が存在します。この2職種の共通項は、「新たなチャレンジをする人たちに伴走」をし、プラットフォームの提供や泥臭い提案を通して「社会に新たな価値を届けること」。
本イベントでは、先駆者として道を切り開いている現場メンバーより、仕事のやりがいや難しさを詳しくお伝えしたり、企業間のセッションだからこそ見つかるお互いの魅力について語り合いました。
<登壇者>・松岡宏治 様(株式会社マクアケ キュレーター本部マネージャー) 2015年早稲田大学卒業後、ITベンチャー企業を経て、2016年に株式会社マクアケへジョイン。マクアケ関西支社二人目の社員として立ち上げに従事。その後九州、名古屋、中四国といった地方拠点の立ち上げを通じて事業拡大に貢献。現在は、キュレーター本部全体を統括しつつ、自らも地方へ足を運んでいる。国内メーカーのプロジェクトを中心に1,000件以上のプロジェクトを担当。・榎本 彩花(株式会社Voicy パーソナリティサクセス) 同志社大学卒業後、株式会社イノベーションにてBtoBマーケティング施策のコンサルティング営業や、オウンドメディアの編集長を経験。2019年1月、かねてよりリスナーコミュニティにて活動をしていた株式会社Voicyへ、パーソナリティサクセスとして入社。音声プラットフォーム「Voicy」で音声発信を行うパーソナリティの選定やチャンネル開設時のオンボーディング、コンテンツ企画、イベント企画運営、SNS運用など幅広く担当。<モデレーター>・勝村 泰久(株式会社Voicy 執行役員) 東証一部上場の株式会社クイックにて営業部長や新規事業開発を経験後、HR divisionの責任者として採用や組織開発、制度設計などに携わる。2020年にVoicyに参画した後はVPoHRとして総務人事領域を管掌しつつ、メディア編成や事業開発も担当。2021年2月より執行役員に就任。キャリア教育やHRに関する学会公演・イベント登壇、大手企業の人事顧問や自治体の戦略顧問、人事向けオンラインサロン運営など、幅広く社会活動も行っている。
# 勘違いされやすい私たちの業種とは?
(勝村)Voicyのメディアコンテンツチームでおくる採用イベント「クリエイター・エコノミーのシゴト」。第三回目の今回は、マクアケ社キュレーター本部マネージャーをお招きし、“前例のない職業に、パイオニアとしてどう向き合うか”をテーマにお届けします。最初のテーマは、「#勘違いされやすい私たちの業種とは?」。クラウドファンディングやラジオとの違いについて、旧来のサービスとの具体的な差分について聞いていきたいと思います。ではまずクラウドファンディングとの違いについて、松岡さんどうでしょう?
(松岡)クラウドファンディングというのは、名前の通りファンド(資本)が軸となっているサービスだと思うのですが、「Makuake」では“応援購入”と言っているように、流通市場を変えていくことが軸であり、大前提のアプローチに違いがあります。僕たちはクラウドファンディングの仕組みを用いた応援購入サービスであり、概念から異なるんですね。
実行者の関わり方としても、「Makuake」を実行して終わりではなく、「Makuake」を経てその商品やサービスをどうしていきたいのかということから逆算してプロジェクトを進めています。クラウドファンディングは資金を集めることが目的のため、必要資金が集まるとプロジェクトが完了となりますが、「Makuake」の場合はサービスの名の通り、そこからがスタートになる点が大きな違いかと思います。
(勝村)なるほど。とは言え、実行者さんの中には他のクラウドファンディングサービスと比較をする方もいるかと思うのですが、「Makuake」というサービスのどこに惹かれて選択する方が多いのでしょう?
(松岡)「Makuake」は新商品や新サービスに特化しており、開発背景やこだわりなどのストーリーを伝えているプロジェクトが多いので、集まるサポーターの特性が異なるんです。様々な新しいサービスや商品をいち早く知ることのできるプラットフォームなので、クラウドファンディングに寄付をするというスタンスではなく、面白いチャレンジがないか、そしてそれを応援購入できないかというような、ウィンドウショッピングに近い感覚で訪れてくれるんですよね。
そのように一般的なクラウドファンディングの概念とは異なる「Makuake」だからこそ、プロジェクト実施のご相談をいただいたときにミスマッチとなる実行者の方もいるんです。そのときは「Makuakeではなく、他社のクラウドファンディングサービスのほうがマッチするかもしれないです。」という率直なお話をすることもありますね。“掲載しようとしているプロジェクトが新しいかどうか”というのは、「Makuake」の世界観とマッチするポイントとして重要な点です。
(勝村)そうなると、実行者やサポーターにはアーリーアダプターの方が多いのでしょうか?
(松岡)そうですね。イノベーターやアーリーアダプターの方が多いかもしれません。ただ「Makuake」には、手に入れたことを思わず周りに言いたくなるような魅力的なプロジェクトが多いので、口コミで「こんなサイトあるんだ!」と、少しずつマス層にも認知が広がってきている感覚があります。こだわりを持ったECサイトに訪れるような感覚で、見に来ていただけているのかなと。
(勝村)ありがとうございます。では榎本さん、Voicyはどうでしょう。ご自身で携わっている中で、ラジオなど他メディアとの差はどこに感じますか?
(榎本)よく代表が言っている言葉なのですが、“人を届けるメディア by Voice”というのが一番わかりやすいコピーかなと思っていて、「人を届けている」点が一番大きな違いだと思います。私はよくラジオを聴くのですが、ラジオは流している時間を楽しむことや、音楽やDJの方との空間を楽しむ体験に近いのかなと思います。一方Voicyでは、パーソナリティのことを深く知ることができ、パーソナリティの価値観に共感したうえでもっと話を聴いてみたいと思えるような体験を提供している。そこが異なる点かなと。
(勝村)コンテンツに対して時間を消費しているのがラジオ、人に会いにいくことに時間を消費しているのがVoicy、というイメージでしょうか。
(榎本)そうですね。Voicyパーソナリティの声を聴き続けていると、彼らに対して好感度が高まり、不思議と仲良くなれるような感覚になるんですよ。だからこそ、パーソナリティに対しても、「あなた自身をもっと出したほうがいい」というようなコミュニケーションはよくとります。そのため、これまでの経験をリスナーに還元したり、気づきを与えていきたいという思いがあって、且つ、常に自身をアップデートしているような方は、Voicyのパーソナリティにとてもマッチしているなと思いますね。
# まだ世にない職業を仕事にするという魅力
(勝村)「キュレーター」や「パーソナリティサクセス」という、まだ聞き慣れない職業を経験されているお二人ですが、この職業の魅力についても聞いていきたいと思います。榎本さん、どうでしょう?
(榎本)Voicyのパーソナリティサクセスとして仕事をするうえでの魅力は、接するパーソナリティの方々が、本当に多様なことですね。様々な業種や職種の方と関わるので、とても面白いです。パーソナリティの話を聴いていると、まるで生活そのものに寄り添っている感覚を受けますし、一緒にいろいろな仕事ができて魅力的だなと思います。
(勝村)多様な方々と接するにあたって、何か気をつけていることはありますか?
(榎本)パーソナリティによって、柔軟に対応方法を変えています。ロジカルにコミュニケーションを取る場合もあれば、逆に信頼関係の構築に重きを置いてコミュニケーションを取る場合もあります。多いのはテキストコミュニケーションになりますが、パーソナリティごとに見せている表情は全く異なるものだと思います。
(勝村)ユーザーの幅の広さという観点で、Makuake実行者の方はどうなのでしょう?
(松岡)とても広いです。中小企業の社長や、大企業の担当者。飲食店や、地域の祭を活性化させる取り組みをしている方もいました。実行者によって叶えたい世界観が異なるので、「Makuake」でどのようにアプローチをしていくかという、HOWの部分が実行者ごとに異なりますね。彼らがなぜ「Makuake」をやるのか。彼らと同じ景色を見て、思いに“シンクロ”しながら、一緒に楽しむ姿勢を、僕はよく“責任感ある好奇心”と表すのですが、そういったスタンスを大事にしながら、日々様々な実行者と向き合っています。
(榎本)マクアケさんの場合は、一人一人の実行者の方と打ち合わせをし、目指す方向へしっかりと向き合っているのだなと思いました。Voicyだと、一人のパーソナリティに初めからじっくり向き合うというよりは、彼らの普段の放送を聴き込み、私たちが意図を組んでご提案していくことが多いので、そこは2社でのアプローチの違いだなと感じますね。
(松岡)確かに。お話を聞いていて、Voicyのパーソナリティサクセスは、個がどんな価値観を持っていて、どんな生活をしているのかに向き合い、家族のようにその生活へ入っていくようなイメージを持ちました。
(榎本)そうですね。「昨日講演会されていたから、今日はその話をしてくれるかも」とか、私たちはパーソナリティの方々の生活を、実はよく見ているんです(笑)。
# 成長企業で働く魅力と辛さ
(松岡)「Makuake」というプラットフォームが成長していくにつれ、組織も大きくなります。入社当初のマクアケは、社員が15名ほどでした。中でも関西支社は2名で、裁量権も大きい状態でのスタートでした。今では、キュレーターの人数は約70名にまで拡大しました。そうなると、単純に実行者と向き合うだけでなく、仕事を言語化してメンバーへ伝えていくマネジメント領域が増えてきたんですよね。これは成長企業だからこそ経験できることだな、と思っています。
(勝村)「実行者とのシンクロ」について教えるのは難しそうですね。
(松岡)その点は、現在進行系で悩み中です(笑)。リアルな話、“なにが正解か”はある程度自分でつくっていかなくてはいけない。その中で、メンバーそれぞれが歩んできた人生は異なるので、人によって正解が異なることもあるんですよね。無理に言語化しようとすると、今度は細かいニュアンスが落ちてしまったりして。
(榎本)わかります。
(松岡)まさに今悩んでいるところではありますが、これまで1,000件以上のプロジェクトに携わってきたという経験からの自信もあるので、その経験に基づいたナレッジを共有しつつ、メンバーとの心理的安全性を保ってコミュニケーションを取ることの重要性を感じながら向き合っています。
(榎本)Voicyのパーソナリティサクセスも同様で、人間性が問われる仕事なのでマニュアル化することは難しく、相手も“人”なので、明確に正解がないからこそ指導の難易度の高さを感じています。
(勝村)なるほど。プラットフォームの提供価値だけはぶらさず、HOWに関しては多様性を認めていくことが大切になりそうですね。
(松岡)そのとおりですね。事業がさらに成長していく上で、プラットフォームって解釈のしようがいくらでもあるなと思っていて。僕は「Makuake」を客観的に見て、どのように使えるかを考えることが多いんです。これから入社してきてくれる方にも、「Makuake」というプラットフォームをどう解釈するかは自分なりに持っていてほしいと思います。
(勝村)事業目線が強いんですね。マクアケ社は、全体だとどのくらいの人数規模になりましたか?
(松岡)200名ほどです。
(勝村)では、松岡さんの入社時からは10倍以上になっているんですね。榎本さんは、Voicyへ何名くらいのタイミングで入社しましたか?
(榎本)私は、15名程度のタイミングだったと思います。
(勝村)今だと3〜4倍の組織に成長しているということですね。お二人とも、会社の創業期から組織の拡大を見てきていると思うのですが、だからこそ感じる魅力や、つらさはありますか?
(松岡)成長企業というよりマクアケという軸の話にはなりますが、キュレーターを経験している中で、実行者がプロジェクトを通して成し遂げたい夢が、自分の夢にもなるんですよね。
(勝村)格好良い!
(松岡)実行者と話しながら、「これが実現したら、本当に世の中が変わるかもしれない!」と本当に思うんです。だからこそ、プロジェクトが成功することは、自分にとっても大きな喜びになりますね。一方、プロジェクトが成功するかどうかで人の人生を左右することにもなるので、心のCPUというか、マインドシェアを持っていかれることも結構あります。人の人生と一緒に歩む仕事になるので、責任とやりがいが大きい分、タフな側面もあります。
(勝村)タフな側面と言っても労働時間ではなく、マインドが持っていかれてしまうということなんですね。
(松岡)まさに心のCPUですね。土日でも「あのプロジェクトうまくいっているかな?」や「この地域とどうやったら関われるだろう」など、考え始めると止まらなくなります。ワークアズライフのような感覚ですね。
(勝村)松岡さんに担当してもらえたら幸せですね!
(松岡)そう思っていただけることが僕の幸せです!Voicyさんも、パーソナリティと向き合う仕事ということで、結構近い働き方なんじゃないかなと。
(勝村)榎本さんはどうですか?
(榎本)難易度の高い挑戦に向き合えるのが今のフェーズだと思うので、そこが魅力だと感じます。正解がない中で多様なパーソナリティへと向き合うことの難しさを感じつつ、それがやりがいになっています。Voicyはインフルエンサーの方が使い始めてくれたタイミングで盛り上がり始め、最近では徐々に芸人の方やライフスタイル系の発信をする方なども増えてきて、当初とはかなりパーソナリティのカラーが変わってきたような感覚があります。
(勝村)「Makuake」でも、実行者の層の移り変わりはあったのでしょうか?
(松岡)「Makuake」の実行者でいうと、初めはスタートアップや、ネットリテラシーの高い方に使っていただくことが多かったのですが、最近は地方を含め、老舗企業からのお問い合わせも増えてきています。「Makuake」での結果が、社内で認められるきっかけになるケースなども見てきて、その企業にとって重要なチャレンジに選んでいただけるようになってきたことは感慨深いですね。
# Q&A
(勝村)ここからは、質疑応答の時間に入りたいと思います。まず一つめは、「上手くいかなかったこと、失敗した経験談などを聞いてみたいです。失敗の経験があったからこそ構築できた手法などもあると嬉しいなと思っています。」とのことです。榎本さんどうでしょう、失敗した経験はありますか?
(榎本)いっぱいありますね(笑)。目の前でいうと、Voicyでの発信を辞めてしまうパーソナリティも多く、継続してもらうことの難しさは日々感じているところです。少しずつVoicyが大きくなる中で、ある程度の期待感を持って始めたものの、思った結果にならず、音声の魅力に気づく前に離れていってしまう方も多いんです。パーソナリティサクセスとして、パーソナリティにVoicyを楽しんでもらえるための施策や仕組みづくりを色々とやっているところです。
(勝村)Voicyはチャーンレートが低く、一年後も50%ほどのパーソナリティが音声配信を続けてくれています。一方で50%の方は離れていっているという課題感もあり、榎本さんは現場で向き合っているからこそ大変な部分もありますよね。松岡さんは失敗談ありますか?
(松岡)キュレーターとしての経験で言うと、当初はプロジェクトが成功した後のことをあまり考えられていなかったんですね。過去に、「Makuake」を通してとあるプロジェクトが成功したのですが、数年後に実行者だった企業が倒産していたことがありました。「Makuake」を経て何を実現していくかまで、シンクロできていなかった。この経験から「挑戦する文化をつくるための一歩めなのか、もしくは一世一代の挑戦なのか」といった、その企業の「Makuake」に対するチャレンジの深さを意識するようになりました。最初にしっかりとヒアリングをし、キャッチアップしています。
(勝村)そうだったんですね。そこまで情緒的になれる職業はあまり世にないと思うので、本当に素敵な仕事だと思います。
ではもう一つ、「前例の少ない新たな職種を確立して価値を届けていくにあたって、さまざまな試行錯誤や成功も失敗も経験されてきたかと思いますが、今感じていらっしゃる組織の強みや現場として今後より伸ばしていきたい点についてお聞かせいただきたいです。」という質問が来ています。組織について、松岡さんはいかがでしょう?
(松岡)組織の強みとして、やはり「Makuake」というサービスが好きな人が多いと思います。サービスやプロジェクトをどうグロースしていくかについて、一生懸命考えてくれるメンバーが多いんです。みんながプラットフォームを様々な切り口で解釈しながら、「どうなったらいいか、そのために何をするか」を考えて動けているので、それは強みなのかなと。
(勝村)距離感の近い組織なんですね。
(松岡)そうですね。たまに、アクションが多すぎてカオスになることもあります(笑)。
(榎本)業界は異なりますが、Voicyもマクアケさんと近い部分があります。Voicyでは全員が「音声市場を盛り上げたい」「新たな市場をつくっていきたい」というマインドを持っているので、ベースの意識やコミュニケーションがズレなくてとても働きやすいです。プロダクトを通してパーソナリティやリスナーにどんな価値を届けたいか、という共通認識でコミュニケーションが取れるんです。自己成長が軸となっているメンバーはおらず、だからこそゴールやスタンスの認識をすり合わせることができているのだと思います。
(勝村)ありがとうございます。では最後に、お二人から一言ずついただいて締めたいと思います。
(榎本)多様な方と仕事ができる環境で、自身の視野の広がりを感じています。先程は自己成長が軸にはなっていないと言いましたが、仕事を通して確実に成長できる環境ではあるので、少しでもVoicyに興味があったり、一緒に働いてみたいと思ってくれる方がいれば、ぜひお待ちしています。
(松岡)僕も“自己成長は結果”だと思います。「Makuake」というプラットフォームは可能性が広いので、「こんなことをMakuakeで実現したい」というようなビジョンがある方には活躍していただける環境です。興味を持ってくれた方は、ぜひ宜しくお願いします。
(勝村)ありがとうございました!
▼ 当日の音声はこちらからお聴きいただけます。